冷たい舌
 今の夢はなんだ―?
 もしかして、あれは過去にあったことじゃないのか?

 だとするなら、透子は― 人間じゃない?

 いや、それはおかしい。

 だったら、たかが龍神ごときにああも支配される必要はないはずだ。

 ……もしかして、人で居続けるために、必要なことだったのか?

 それに、そもそも、透子がこの世に誕生するのに必要だった人間の許可とは―

 しかし、それらの問題すべてが瑣末なことに思えるほど、和尚の胸に響いていた言葉があった。

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