フキゲン課長の溺愛事情
あれこれ迷いながら買い物をして帰宅した。達樹がどんなものを好きでも楽しんでもらえるように、辛いもの、甘いもの、酢の物など、幅広い味付けの料理を用意した。栄養バランスを考えて、彩りを工夫して。
(どれかひとつでも気に入ってくれたらうれしいな)
ドキドキしながら達樹の帰宅を待っていると、九時過ぎに玄関ドアの開く音がした。
「おかえりなさい!」
璃子が廊下をばたばたと走ってくるのを見て、達樹が目もとを緩めた。
「ただいま。今日は出迎えつきか」
「〝いいこと〟がとてもうれしくて。ありがとうございます」
「礼を言われる理由がわからないな。昇進のことなんだとしたら、あれは水上が自分で掴み取ったことだ」
達樹が靴を脱ぎながら言った。
「でも……課長がこうしてルームシェアさせてくれなければ、私、たぶんすごいへこんで落ち込んで、仕事が手につかなかったかもしれないし……。だから、課長に改めてお礼が言いたかったんです」
「そうか」
達樹は璃子の頭にポンと手をのせた。そうして髪をくしゃくしゃと掻き回す。
(どれかひとつでも気に入ってくれたらうれしいな)
ドキドキしながら達樹の帰宅を待っていると、九時過ぎに玄関ドアの開く音がした。
「おかえりなさい!」
璃子が廊下をばたばたと走ってくるのを見て、達樹が目もとを緩めた。
「ただいま。今日は出迎えつきか」
「〝いいこと〟がとてもうれしくて。ありがとうございます」
「礼を言われる理由がわからないな。昇進のことなんだとしたら、あれは水上が自分で掴み取ったことだ」
達樹が靴を脱ぎながら言った。
「でも……課長がこうしてルームシェアさせてくれなければ、私、たぶんすごいへこんで落ち込んで、仕事が手につかなかったかもしれないし……。だから、課長に改めてお礼が言いたかったんです」
「そうか」
達樹は璃子の頭にポンと手をのせた。そうして髪をくしゃくしゃと掻き回す。