フキゲン課長の溺愛事情
「それ意味わかりません」
「元気で明るいってことだよ」
「ふーん」
璃子はそっけなく言って助手席のサイドウィンドウに視線を向けた。お気に入りの曲を聴いても、心は達樹と〝美咲〟のことにとらわれたままだった。
途中で一度、高速道路のサービスエリアで休憩して、また車で走っているうちに、窓から見える緑が増えてきた。山は新緑が美しく、緩やかな山裾からは棚田が続いていて、掘り起こされた土が田植えを待っている。ゆったりと流れる川の水面では、午前の光がキラキラと反射していた。
都会では目にできないのどかな光景に、璃子の目が輝く。
「わあ……きれい」
思わず言ってしまい、運転席から達樹の声がした。
「この辺りから奥美郷町だ」
「そうなんですね。ずっと運転してくださってありがとうございます」
「窓を開けてもいいぞ。空気がきれいだ」
言われてパワーウィンドウを下げると、ひんやりとしてすがすがしい空気が入ってきた。
「元気で明るいってことだよ」
「ふーん」
璃子はそっけなく言って助手席のサイドウィンドウに視線を向けた。お気に入りの曲を聴いても、心は達樹と〝美咲〟のことにとらわれたままだった。
途中で一度、高速道路のサービスエリアで休憩して、また車で走っているうちに、窓から見える緑が増えてきた。山は新緑が美しく、緩やかな山裾からは棚田が続いていて、掘り起こされた土が田植えを待っている。ゆったりと流れる川の水面では、午前の光がキラキラと反射していた。
都会では目にできないのどかな光景に、璃子の目が輝く。
「わあ……きれい」
思わず言ってしまい、運転席から達樹の声がした。
「この辺りから奥美郷町だ」
「そうなんですね。ずっと運転してくださってありがとうございます」
「窓を開けてもいいぞ。空気がきれいだ」
言われてパワーウィンドウを下げると、ひんやりとしてすがすがしい空気が入ってきた。