フキゲン課長の溺愛事情
「うわあ!」

 ココナッツの甘みをスパイスが引き立てていて、くせになりそうな味わいだ。

「すごくおいしい!」
「水上のリアクションはイチイチ大袈裟だな」

 達樹に苦笑され、璃子はあわてて声を落とす。

「あ、うるさかったですね、すみません」
「いや、おもしろいよ」
「また〝おもしろい〟ですか。今日は五〝おもしろい〟ぐらいいただいちゃいましたかね」
「いや、四〝おもしろい〟と一〝かわいい〟だ」
「か、かわいい!?」

 璃子の言葉をスルーするかのように、達樹がスプーンを口に運んだ。

「んー、やっぱりここのカレーは絶品だな」

(課長が私のこと、『かわいい』って言ってくれた! 『一かわいい』だけど!)

 うれしくて身悶えしそうになりながらも、璃子はそれを悟られまいとカレーを口に運んだ。 
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