フキゲン課長の溺愛事情
そうしてその日の夕食は、買ったばかりの卓上電気フライヤーを囲んで串揚げパーティとなった。具材――豚肉、エビ、ホタテ、ウインナー、青唐辛子、タマネギ、じゃがいもなど――に小麦粉、卵液、パン粉をつけて、フライヤーで揚げながら達樹は缶ビールを、璃子は缶カクテルを飲んだ。
「こういうのもいいな」
達樹が言って、目を細めて璃子を見た。頬が少し赤くなっていて酔っているのだとわかるが、楽しげなその口調に、璃子もうれしくなる。
「いいでしょ。楽しいでしょ? またやりましょうね」
璃子は立ち上がって、フライヤーのコンセントを抜いた。
「片付けますね」
璃子が立ち上がり、達樹も続いて腰を上げた。
「手伝うよ」
達樹と璃子がそれぞれ朝食と夕食を担当しているので、ふたり並んでキッチンに立ったのは初めてだった。広いキッチンだけど、シンクの前に並んで立つと、やはり体を寄せ合うようになってしまう。触れ合っているわけではないのに、達樹の体温を感じてしまって、璃子の頬が熱くなった。