フキゲン課長の溺愛事情
璃子の言葉に、啓一が決まり悪そうに視線をさまよわせた。
「和田さんとケンカでもしたんでしょ?」
璃子の問いかけに啓一の横顔がうなずいた。
「……実はそうなんだ。友紀奈が結婚式場を見てみたいっていうから、ブライダルフェアを予約して式場を見に来たんだ」
「式場ってシーサイドホテルの?」
「そう」
「啓一ひとりで来たの?」
「それがさぁ……」
啓一はテーブルに肘をついて顔の前で手を組んだ。
「あいつ、ワガママでさ。案内してもらうために予約まで入れてたのに、見もしないうちから『海からこんなに強い風が吹くんじゃ、ドレスが乱れちゃう。やっぱここヤダ』なんて言い出して……。予約した手前、話くらい聞こう、って俺が言っても聞かないんだ。友紀奈が拗ねてひとりで先に帰るから、ほかのカップルに交じって俺だけひとりでフェアに参加する羽目になった」
啓一がテーブルの上の紙袋に視線を向けた。紙袋にはホテルの名前がプリントされていて、中からカラーのパンフレットが覗いている。
「和田さんとケンカでもしたんでしょ?」
璃子の問いかけに啓一の横顔がうなずいた。
「……実はそうなんだ。友紀奈が結婚式場を見てみたいっていうから、ブライダルフェアを予約して式場を見に来たんだ」
「式場ってシーサイドホテルの?」
「そう」
「啓一ひとりで来たの?」
「それがさぁ……」
啓一はテーブルに肘をついて顔の前で手を組んだ。
「あいつ、ワガママでさ。案内してもらうために予約まで入れてたのに、見もしないうちから『海からこんなに強い風が吹くんじゃ、ドレスが乱れちゃう。やっぱここヤダ』なんて言い出して……。予約した手前、話くらい聞こう、って俺が言っても聞かないんだ。友紀奈が拗ねてひとりで先に帰るから、ほかのカップルに交じって俺だけひとりでフェアに参加する羽目になった」
啓一がテーブルの上の紙袋に視線を向けた。紙袋にはホテルの名前がプリントされていて、中からカラーのパンフレットが覗いている。