フキゲン課長の溺愛事情
「ああ、そう……。結婚するつもりなんだね」
「わからない」

　彼の言葉に璃子は目を見開いた。

「わからないって、どういうこと？」

　璃子の問いかけに、啓一が璃子の方を見る。

「俺……間違った選択をしたかもしれない」
「は？」

　璃子は啓一の言いたいことがわからず、眉を寄せた。

「璃子は……俺のことを璃子がいなければダメな男みたいに思ってただろ？」
「それは……」

　たしかに〝啓一には私がいなくちゃダメなのね〟と思ったことはあった。璃子がなにも言わないでいると、啓一が話を続ける。

「友紀奈に頼られて……俺は女に頼るばかりの男じゃないんだ、女に頼られる男なんだって思ってうれしくなってさ」
「和田さんに頼られてうれしかったんなら、最後まで頼られてあげなよ」

　璃子の言葉に、啓一が首を振った。
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