フキゲン課長の溺愛事情
「今さらだわ」
「そうだね」

 啓一が目尻を下げたまま、悲しげに微笑んだ。その頼りなげな表情を視界から閉め出すように、璃子は彼に背を向ける。

「それじゃ」

 そうして振り返ることなくカフェを出た。
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