フキゲン課長の溺愛事情
 腕の力は緩んだものの、今度は息もつけないくらい激しくキスをされる。その激しさに膝から力が抜けて立っていられなくなって、璃子は達樹の首に腕を回してしがみついた。

「やっぱり二度と離す気になれないな……」

 達樹が言って、璃子を横抱きに抱え上げた。

「シャワーを浴びるんだったよな」
「あっ」

 璃子の頬が赤く染まった。シャワーを浴びて寝ます、と言ったが、それはひとりで浴びるのが前提だった。

 バスルームの前で下ろされ、達樹に口づけられる。それに応えている間にプルオーバーをたくし上げられ、彼の唇が離れた瞬間に脱がされた。恥ずかしがる隙もなく、再び唇をキスで塞がれる。

 唇を触れ合わせたまま、達樹が言う。

「璃子だからそそられる。璃子じゃなきゃそそられない。わかるか?」

 璃子はこくん、とうなずいた。

「シャワーを浴びるのも寝るのも、ふたり一緒でかまわないな」
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