フキゲン課長の溺愛事情
璃子は〝藤岡課長〟という名前を出されて、もう一度人差し指を唇にあてた。
「沙織には昨日、心配かけちゃったから、正直に話したの。でも、しばらくは誰にも言わないでいてくれる?」
ようやく落ち着いたらしい沙織が、手を口から下ろして言う。
「どうして?」
「んー、だって、私が啓一に大失恋したのはほんの二週間前のことなんだもん。振られてヤケになって付き合ってる、とか思われても嫌だし」
「課長は秘密にするのでいいって?」
「『周りには好きに思わせておけばいいのに』って言ってたけど、私の気持ちを理解してくれた」
「そう。まあ、璃子たちがそうしたいなら、私も黙ってる」
「ありがと」
璃子が言ったとき、「おはようございまーす」と声がして、優太が広報室に入ってきた。璃子を見つけて、カッと目を見開く。
「水上さん!」
「な、なに?」
彼の意を決したような表情に、璃子はなにを言われるのかと反射的に身構えた。
「水上さんって……絶対に好きですよね?」
「沙織には昨日、心配かけちゃったから、正直に話したの。でも、しばらくは誰にも言わないでいてくれる?」
ようやく落ち着いたらしい沙織が、手を口から下ろして言う。
「どうして?」
「んー、だって、私が啓一に大失恋したのはほんの二週間前のことなんだもん。振られてヤケになって付き合ってる、とか思われても嫌だし」
「課長は秘密にするのでいいって?」
「『周りには好きに思わせておけばいいのに』って言ってたけど、私の気持ちを理解してくれた」
「そう。まあ、璃子たちがそうしたいなら、私も黙ってる」
「ありがと」
璃子が言ったとき、「おはようございまーす」と声がして、優太が広報室に入ってきた。璃子を見つけて、カッと目を見開く。
「水上さん!」
「な、なに?」
彼の意を決したような表情に、璃子はなにを言われるのかと反射的に身構えた。
「水上さんって……絶対に好きですよね?」