フキゲン課長の溺愛事情

「俺だって狙ってるんです！」
「は？」

　璃子は驚いて優太をまじまじと見た。

（青葉くんが課長を狙ってる!?　そ、それは気づかなかったなぁ……。そうだったのかぁ。意外だけど、でも、それなら青葉くんの周囲に女性の影がないのも納得かぁ……）

　璃子がそう思ったとき、優太が璃子の両手をギュッと握った。

「お願いします、俺に譲ってください！」
「え、ええっ!?　それは無理……」

　私だって好きだもん、という璃子の言葉に、優太の言葉が重なる。

「だって、水上さん、もう段ボールひと箱分くらい食べたじゃないですかっ」
「……へ？」

　優太の言葉に璃子はぱちくりと瞬きをした。

（『段ボールひと箱分くらい食べた』？　なんの話？）

「俺だってあのカップラーメン狙ってるんですよ！　豚骨味が一番気に入ってるのに！」

　優太の言葉に、璃子はようやく気づいた。