フキゲン課長の溺愛事情
第二節 ゴールデンウィークの試練?
ローテーブルの向こう側のソファでは、璃子の両親が渋い顔をして座っていた。
璃子の隣のソファには、スーツ姿の達樹が座っている。
今はゴールデンウィークの真っ只中。
連休前、璃子はひとりで実家に帰るつもりにしていた。実家の両親には、帰省したときに啓一と別れたことを話して、今は会社の知人の部屋に居候させてもらっている、とでもあいまいに説明しておこう、と思っていた。だが、璃子がそう言うと、達樹が『ご両親に嘘はつきたくない。理解してもらえるよう、きちんと説明しよう』と言ってついてきてくれたのだ。
璃子はゴクリと唾を飲み込み、口を開いた。
「こちらが藤岡達樹さん。うちの会社の海外プロジェクト課の課長で、三十二歳」
璃子が達樹を紹介して、達樹が「璃子さんにはいつもお世話になっております」と頭を下げた。
あらかじめ電話で啓一と別れたこと、今は達樹と同棲していて、彼と挨拶に行くことを伝えておいたはずなのに、父は眉間にしわを刻んだままだ。
「いや、でもなぁ……五年も付き合っていた恋人と別れたばかりだというのに……。いきなり別の男性と同棲、というのはなぁ……」
「けっしていい加減な気持ちで璃子さんと一緒に暮らしているわけではありません」
達樹の言葉に、今度は母が首を振る。
璃子の隣のソファには、スーツ姿の達樹が座っている。
今はゴールデンウィークの真っ只中。
連休前、璃子はひとりで実家に帰るつもりにしていた。実家の両親には、帰省したときに啓一と別れたことを話して、今は会社の知人の部屋に居候させてもらっている、とでもあいまいに説明しておこう、と思っていた。だが、璃子がそう言うと、達樹が『ご両親に嘘はつきたくない。理解してもらえるよう、きちんと説明しよう』と言ってついてきてくれたのだ。
璃子はゴクリと唾を飲み込み、口を開いた。
「こちらが藤岡達樹さん。うちの会社の海外プロジェクト課の課長で、三十二歳」
璃子が達樹を紹介して、達樹が「璃子さんにはいつもお世話になっております」と頭を下げた。
あらかじめ電話で啓一と別れたこと、今は達樹と同棲していて、彼と挨拶に行くことを伝えておいたはずなのに、父は眉間にしわを刻んだままだ。
「いや、でもなぁ……五年も付き合っていた恋人と別れたばかりだというのに……。いきなり別の男性と同棲、というのはなぁ……」
「けっしていい加減な気持ちで璃子さんと一緒に暮らしているわけではありません」
達樹の言葉に、今度は母が首を振る。