フキゲン課長の溺愛事情
麻子がウキウキとした足取りでリビングから出て行き、大きな寿司桶を受け取って戻ってきた。ローテーブルにおいしそうな寿司が置かれ、菜子が日本酒の瓶とグラスを運んできて、リビングの雰囲気がぐっと柔らかくなる。
「それじゃ、堅苦しい話はこのくらいにしておきましょうか」
母が言って、日本酒の瓶を取り上げた。
「藤岡くんも飲むだろう?」
その父の言葉で、水上家ではまだ日も落ちていない夕方から宴会が始まった。前もって出前を頼んだりお酒を用意したりしてくれていたのだから、百パーセント反対されているわけではないのかな、と思いながらも、璃子は不安な思いで両親を見ていた。
菜子と麻子も加わって、六人でふたつの寿司桶を囲んでいるうちに、いつの間にか父と達樹はそれぞれひとりがけのソファに移動してふたりで飲んでいて、璃子は菜子と麻子に挟まれていた。
「出前を頼んでくれてたのはお母さん?」
璃子が小声で問うと、菜子が同じく小声で答える。
「そう。あんなふうに言ってたけど、璃子姉ももう大人だし、本当に好きなら、付き合っている期間の長さに関係なく認めてあげようって言ってたんだよ」
「そうなんだ……。でも、最初は反対されたような気がするけど」
「それじゃ、堅苦しい話はこのくらいにしておきましょうか」
母が言って、日本酒の瓶を取り上げた。
「藤岡くんも飲むだろう?」
その父の言葉で、水上家ではまだ日も落ちていない夕方から宴会が始まった。前もって出前を頼んだりお酒を用意したりしてくれていたのだから、百パーセント反対されているわけではないのかな、と思いながらも、璃子は不安な思いで両親を見ていた。
菜子と麻子も加わって、六人でふたつの寿司桶を囲んでいるうちに、いつの間にか父と達樹はそれぞれひとりがけのソファに移動してふたりで飲んでいて、璃子は菜子と麻子に挟まれていた。
「出前を頼んでくれてたのはお母さん?」
璃子が小声で問うと、菜子が同じく小声で答える。
「そう。あんなふうに言ってたけど、璃子姉ももう大人だし、本当に好きなら、付き合っている期間の長さに関係なく認めてあげようって言ってたんだよ」
「そうなんだ……。でも、最初は反対されたような気がするけど」