フキゲン課長の溺愛事情
(誰もいないはずなのに、なんで?)
怪訝に思って目を開けると、暗がりの中、すぐ前にぼんやりと白いワイシャツの胸が見えた。頭の下には誰かの筋肉質な腕を感じる。
璃子は信じられない思いで瞬きをした。だが、すぐにじわじわと喜びが込み上げてくる。
(なんだ、夢だったんだ!)
啓一に別れを切り出されたのは夢だったんだ。夢じゃなかったら、今、私の前に啓一がいるはずがない!
喜びが爆発したように全身を駆け巡り、璃子はほうっと安堵のため息をついた。
(それにしてもやけに生々しい夢だった……。啓一に振られて世界が終わるかと思ったし、課長の歓迎会では青葉くんに『あんたんちに泊めなさい』とか迫っちゃったし)
苦笑しながら両手をついて上体を起こした。
(啓一のことをもっと大切にしろって警告の夢なのかな)
そう思いながら、首を伸ばして彼に〝おはようのキス〟をした。柔らかな唇にこうしてキスしたのはいつ以来だろう……。そんなことを思ったとき、相手の唇が割れて、不機嫌な声がこぼれ出た。
「俺を襲うな」
怪訝に思って目を開けると、暗がりの中、すぐ前にぼんやりと白いワイシャツの胸が見えた。頭の下には誰かの筋肉質な腕を感じる。
璃子は信じられない思いで瞬きをした。だが、すぐにじわじわと喜びが込み上げてくる。
(なんだ、夢だったんだ!)
啓一に別れを切り出されたのは夢だったんだ。夢じゃなかったら、今、私の前に啓一がいるはずがない!
喜びが爆発したように全身を駆け巡り、璃子はほうっと安堵のため息をついた。
(それにしてもやけに生々しい夢だった……。啓一に振られて世界が終わるかと思ったし、課長の歓迎会では青葉くんに『あんたんちに泊めなさい』とか迫っちゃったし)
苦笑しながら両手をついて上体を起こした。
(啓一のことをもっと大切にしろって警告の夢なのかな)
そう思いながら、首を伸ばして彼に〝おはようのキス〟をした。柔らかな唇にこうしてキスしたのはいつ以来だろう……。そんなことを思ったとき、相手の唇が割れて、不機嫌な声がこぼれ出た。
「俺を襲うな」