フキゲン課長の溺愛事情

　璃子は花びらをひとつかみ受け取った。同じように花びらを手にした達樹が隣に並ぶ。

「投げつけたりするなよ」

　達樹にいたずらっぽく言われて、璃子は苦笑した。

「するわけないじゃない」

　璃子が答えたとき、チャペルのドアが大きく開けられて、友紀奈と啓一が出てきた。

「お幸せに～」
「ケンカすんなよ！」

　友人や会社の同僚たちが声をかけて、花びらを投げかける。友紀奈と啓一が並んでゆっくり歩を進めながら近づいて来たので、璃子も花びらを振りまいた。

　友紀奈が璃子を見て足を止めた。

「璃子さん」
「なぁに？」

　友紀奈は璃子のペールブルーのパーディドレスを、品定めでもするかのようにじろじろと見た。そしてしおらしい表情を作って言う。