フキゲン課長の溺愛事情
 璃子が頬を引きつらせたとき、達樹がすっと片手を伸ばして、友紀奈の手からブーケを受け取った。

「それなら俺がもらう。次に結婚したいからな」
「え?」

 友紀奈が怪訝そうに眉を寄せて達樹を見た。

「ブーケをもらったら、次に結婚できるって言われてるんだろ?」
「い、言い伝えですけどねっ」

 友紀奈が困惑顔で言った。

 達樹は璃子に向き直ったかと思うと、芝生の地面におもむろに片膝をついた。

「か、課長?」

 璃子は驚いて達樹を見た。周囲がざわめいて、みんなの視線が璃子と達樹に集まる。

 だが、そんなことなどおかまいなしに、達樹は落ち着いた声で言った。

「璃子、俺と結婚してほしい」
「え」

 璃子の声に友紀奈の声が重なる。
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