フキゲン課長の溺愛事情

「なっ、なんで藤岡課長が璃子さんに!?」

　その声を無視して、達樹が璃子に言う。

「誰よりも璃子を幸せにする自信がある。俺と結婚してくれないか」
「は、はい……」

　璃子がはにかみ、達樹がうれしそうに笑って立ち上がった。

「すごいな、このブーケは効果絶大だ」

　達樹が言って、璃子の腰に片手を回して引き寄せた。璃子にＯＫの返事をもらえたのがうれしいのか、それともわざとなのかはわからないが、アップにしてパールのＵピンで飾った璃子の髪に、軽くキスを落とした。

「ふ、不機嫌課長があんなことっ……もがっ」

　絶叫しかけた優太の口に沙織が片手で花びらを押し込み、温かな笑顔で璃子に近づいてくる。

「よかったね、璃子。お幸せに！」

　沙織の祝福の言葉に続いて、周りからも拍手が起こった。璃子と友紀奈の間に起こったことを知っている人もそうでない人も、それに花びらを口に突っ込まれたままの優太も、温かな拍手で璃子と達樹のプロポーズを祝福してくれている。