フキゲン課長の溺愛事情
おまけの番外編
「ああ……ん、達樹……そこ、もっとぉ……」

 腰にあてられていた達樹の手にぐっと力が込もり、璃子の背筋をピリピリとした刺激が駆け上がる。

「ふあぁ……っ、すごく、いい……も……ダメ」

 璃子は耐えきれなくなって広いベッドの上で四肢から力を抜いた。その背中に立て膝でまたがったまま達樹が言う。

「ヘルシンキでトランジットしたとはいえ、十四時間の旅はきつかったか」
「んひゃあ」

 達樹の親指が背骨の横に沈み込み、璃子の口から息が漏れた。凝った箇所をピンポイントでほぐしてくれる達樹の指先が、たまらなく気持ちいい。

「変な姿勢で寝ながら映画見てたのがいけなかったのかなぁ」
「俺と一緒のベッドじゃないからゆっくり眠れなかった、とかかわいい言葉を期待してたのに」
「だってぇ……ビジネスクラスなんてもう乗る機会がないかもって思ったら、ただ寝てるのがもったいなくて」

 隣で達樹が静かに眠っている間、璃子はあちこちのボタンを押してなにが起こるのか確かめてみたり、ライトをつけて読書をしたり、寝そべって足もとの画面で映画を見たりした。でも、一番たくさん時間を費やしたのは、片肘ついて上半身を起こしたまま、隣で眠る達樹の整った横顔を思う存分鑑賞することだった。
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