フキゲン課長の溺愛事情
璃子は頭を抱えてベッドに突っ伏した。けれど、そのベッドを覆うシーツに違和感を覚えた。璃子と啓一のベッドには璃子が真っ白なシーツを敷いていたはずだ。けれど、そのシーツは明らかに色が濃い。
璃子は体を起こして部屋を見回した。ベッドサイドテーブルにはランプ型の照明を置いていたはずなのに、そこにあるのはシンプルな四角いライトだ。壁にはなにかの絵が掛かっているようだし、カーテンの色も記憶にあるものよりも濃い。
「あの……ここは……」
璃子の口調に不安を聞き取ったのか、達樹が手を伸ばしてベッドサイドのライトをつけた。軽くタッチしただけで、その四角いライトは淡い明かりを投げかけた。璃子は数回瞬きをして明かりに目を慣らす。
ベッドに敷かれたシーツは落ち着いたブラウン、枕も同じ色だ。壁紙は真っ白で、そこにはA3サイズより少し大きな額縁が掛けられている。その中に描かれている絵は夕焼けの海辺の街で、すっと伸びる尖塔を抱いた教会、白や黄色、赤い壁の背の高い建物と海が美しい。
「これは……?」
「この絵か? ストックホルムの大聖堂だ」
「大聖堂……」
「十三世紀後半に建てられたストックホルム最古の教会だ」
「はぁ。ということは、つまり」
ここは課長の家なのですか、という疑問を視線でぶつけると、達樹がうなずいた。
璃子は体を起こして部屋を見回した。ベッドサイドテーブルにはランプ型の照明を置いていたはずなのに、そこにあるのはシンプルな四角いライトだ。壁にはなにかの絵が掛かっているようだし、カーテンの色も記憶にあるものよりも濃い。
「あの……ここは……」
璃子の口調に不安を聞き取ったのか、達樹が手を伸ばしてベッドサイドのライトをつけた。軽くタッチしただけで、その四角いライトは淡い明かりを投げかけた。璃子は数回瞬きをして明かりに目を慣らす。
ベッドに敷かれたシーツは落ち着いたブラウン、枕も同じ色だ。壁紙は真っ白で、そこにはA3サイズより少し大きな額縁が掛けられている。その中に描かれている絵は夕焼けの海辺の街で、すっと伸びる尖塔を抱いた教会、白や黄色、赤い壁の背の高い建物と海が美しい。
「これは……?」
「この絵か? ストックホルムの大聖堂だ」
「大聖堂……」
「十三世紀後半に建てられたストックホルム最古の教会だ」
「はぁ。ということは、つまり」
ここは課長の家なのですか、という疑問を視線でぶつけると、達樹がうなずいた。