フキゲン課長の溺愛事情
それはつまり、璃子がさっき彼を啓一だと思ってしてしまった〝おはようのキス〟のことを言っているのだろう。それに気づいて璃子の頬が朱に染まる。
「あれは、一緒のベッドにいるから課長を啓一だと勘違いして、彼に振られたのは夢だったんだって思って……うれしくて、つい」
「なるほど。水上は俺を襲ったつもりではなかったと」
「課長だとわかっていたら、キ、キスなんかするわけないじゃないですかっ」
璃子は耳まで赤くして叫ぶように言った。そんな璃子を見て、達樹が口もとを緩める。
「おまえは忙しいな。さっきから泣いたり青ざめたり赤くなったり」
「いえ、だって、その、私っ」
璃子はしどろもどろになる。
「安心しろ。おまえに唇を奪われた以外、俺はなにもされていない」
「いや、その言い方、おかしいですよ!」
「おかしくない。俺はおまえに襲われていない。その事実を述べたまでだ」
「だって! じゃあ、課長は? 課長は隣に私が寝ていてもなんとも思わなかったってことですか!?」
「俺を酔って寝ている女を襲うような男だと思っているのだとしたら、それは水上に男を見る目がないということだ」
「うっ……」
「あれは、一緒のベッドにいるから課長を啓一だと勘違いして、彼に振られたのは夢だったんだって思って……うれしくて、つい」
「なるほど。水上は俺を襲ったつもりではなかったと」
「課長だとわかっていたら、キ、キスなんかするわけないじゃないですかっ」
璃子は耳まで赤くして叫ぶように言った。そんな璃子を見て、達樹が口もとを緩める。
「おまえは忙しいな。さっきから泣いたり青ざめたり赤くなったり」
「いえ、だって、その、私っ」
璃子はしどろもどろになる。
「安心しろ。おまえに唇を奪われた以外、俺はなにもされていない」
「いや、その言い方、おかしいですよ!」
「おかしくない。俺はおまえに襲われていない。その事実を述べたまでだ」
「だって! じゃあ、課長は? 課長は隣に私が寝ていてもなんとも思わなかったってことですか!?」
「俺を酔って寝ている女を襲うような男だと思っているのだとしたら、それは水上に男を見る目がないということだ」
「うっ……」