フキゲン課長の溺愛事情
達樹がベッドルームのドアを開けて廊下に出た。向かい側にある落ち着いたダークブラウンのドアを開ける。
「ほら」
達樹が手を離して、璃子の背中を軽く押した。促されて中を見る。そこは六畳ほどの洋室で、窓には花が刺しゅうされたピンク色のカーテンが掛かっていた。けれど、あるのはそれだけ。ブラウンのフローリングの部屋にはほかに家具も荷物もいっさい置かれていない。
「あの……?」
「この部屋が空いている。しばらく貸してやるから、彼氏の思い出だらけの部屋に帰りたくないなら、ここに住めばいい」
「へ?」
「駅まで徒歩五分、近くにスーパーもある。この部屋は全体の面積の六分の一ほどだから、家賃は光熱費込みで、俺が払っている家賃の六分の一でいい」
「あー、えーっと……」
璃子は瞬きをしながら達樹を見上げた。
「なにか問題でも?」
「も、問題なら、ありまくりですよ」
「たとえば?」
達樹に落ち着いた声で問われて、璃子は考えながら言う。
「だ、だだ、だって、課長は私の上司ですよ?」
「知っている」
「ほら」
達樹が手を離して、璃子の背中を軽く押した。促されて中を見る。そこは六畳ほどの洋室で、窓には花が刺しゅうされたピンク色のカーテンが掛かっていた。けれど、あるのはそれだけ。ブラウンのフローリングの部屋にはほかに家具も荷物もいっさい置かれていない。
「あの……?」
「この部屋が空いている。しばらく貸してやるから、彼氏の思い出だらけの部屋に帰りたくないなら、ここに住めばいい」
「へ?」
「駅まで徒歩五分、近くにスーパーもある。この部屋は全体の面積の六分の一ほどだから、家賃は光熱費込みで、俺が払っている家賃の六分の一でいい」
「あー、えーっと……」
璃子は瞬きをしながら達樹を見上げた。
「なにか問題でも?」
「も、問題なら、ありまくりですよ」
「たとえば?」
達樹に落ち着いた声で問われて、璃子は考えながら言う。
「だ、だだ、だって、課長は私の上司ですよ?」
「知っている」