フキゲン課長の溺愛事情
「それ、ストックホルムのエコタウン研究センターのパンフ。スウェーデン語版と英語版しかないが、参考にほしいと言ってただろ。今日は〝藤岡課長の歓迎会なんかに〟行ってる場合じゃないようだから、時間のあるときに目を通すといい」
さらりと嫌味を言われて、璃子の頬が引きつる。
(やっぱり聞かれてた……)
「す、すみません。あの、課長の歓迎会に行くのが嫌とかそういうわけじゃなくて……」
「言い訳には興味はない」
端正な顔で無表情なまま冷たい視線を向けられ、璃子の心臓までも凍りつきそうになる。
(ひえー、どうしよう、怒らせちゃった? いくらなんでも藤岡課長は、広報室が一番お世話になる環境都市開発部海外プロジェクト課の新任課長だし……)
璃子たちの属する広報室のおもな仕事が、OSK繊維開発株式会社の海外プロジェクトのPRである以上、その主軸を担う新任課長の機嫌を損ねるのはまずい。なんとか取り繕うとして、璃子は必死で言葉を紡ぐ。
「あの、そうじゃなくて、今日は同棲中の彼氏にわざわざ呼び出されてて、どうやらプロポーズされるらしくて、あのなんか、それで、まあ、その……」
さらりと嫌味を言われて、璃子の頬が引きつる。
(やっぱり聞かれてた……)
「す、すみません。あの、課長の歓迎会に行くのが嫌とかそういうわけじゃなくて……」
「言い訳には興味はない」
端正な顔で無表情なまま冷たい視線を向けられ、璃子の心臓までも凍りつきそうになる。
(ひえー、どうしよう、怒らせちゃった? いくらなんでも藤岡課長は、広報室が一番お世話になる環境都市開発部海外プロジェクト課の新任課長だし……)
璃子たちの属する広報室のおもな仕事が、OSK繊維開発株式会社の海外プロジェクトのPRである以上、その主軸を担う新任課長の機嫌を損ねるのはまずい。なんとか取り繕うとして、璃子は必死で言葉を紡ぐ。
「あの、そうじゃなくて、今日は同棲中の彼氏にわざわざ呼び出されてて、どうやらプロポーズされるらしくて、あのなんか、それで、まあ、その……」