フキゲン課長の溺愛事情
「俺が繊維事業部企画課にいて、ストックホルムに出向する直前まで関わっていたプロジェクトなんだけど、正確にはOSK繊維開発単独のプロジェクトではないんだ。兵庫県と京都府の境にある奥美郷町は知ってる?」
璃子は頭の中で近畿地方の地図を思い浮かべた。
「名前を聞いたことはあります」
「奥美郷町に、古民家を再生して宿泊先として提供しようという、いわゆる民泊サービスの提供を行っている〝古民家@(アット)ホーム〟って会社がある。そこの代表と協力して始めたものだ。昔ながらの古民家をより環境にやさしい施設として再生して、みんなでシェアしようというプロジェクトなんだ」
璃子はノートにシャーペンを走らせながら耳を傾ける。
「まず再生プランを立てたんだが、家庭排水を再生利用するための設備を繊維事業部企画課が担当した。そうして全体的なプランを立ててから、民間の会員を募った」
「民間の会員ですか?」
「そう。年会費五千円を払えば、再生したその古民家を一年中いつでも好きなときに、一泊三千円で利用できる」
璃子は思わず手を止めた。
「それってすごくないですか? 年会費五千円払えばいつでも一泊三千円って」
「それがウリなんだ。どうやったら奥美郷町に人を呼べるか、どうやったらエコタウンという発想を定着させられるか。そのための話題性が一番の目的だったから」
璃子は頭の中で近畿地方の地図を思い浮かべた。
「名前を聞いたことはあります」
「奥美郷町に、古民家を再生して宿泊先として提供しようという、いわゆる民泊サービスの提供を行っている〝古民家@(アット)ホーム〟って会社がある。そこの代表と協力して始めたものだ。昔ながらの古民家をより環境にやさしい施設として再生して、みんなでシェアしようというプロジェクトなんだ」
璃子はノートにシャーペンを走らせながら耳を傾ける。
「まず再生プランを立てたんだが、家庭排水を再生利用するための設備を繊維事業部企画課が担当した。そうして全体的なプランを立ててから、民間の会員を募った」
「民間の会員ですか?」
「そう。年会費五千円を払えば、再生したその古民家を一年中いつでも好きなときに、一泊三千円で利用できる」
璃子は思わず手を止めた。
「それってすごくないですか? 年会費五千円払えばいつでも一泊三千円って」
「それがウリなんだ。どうやったら奥美郷町に人を呼べるか、どうやったらエコタウンという発想を定着させられるか。そのための話題性が一番の目的だったから」