君を想う
凄い顔していたから、てっきり怒ってるのかと思ったけど違ったみたい。
「藤崎さん、片付け方とか場所とか良く知ってますね」
「前に清掃業者の人が腰を痛めたとかで用具を運ぶのに苦労していたから手伝った事があるんだ」
「だから、知っていたんですね。」
中には見て見ぬふりをしたり他人には無関心な人もいるのにこの人、意外と親切な人なんだ。
「これでよし。片付けとくからお前は戻って自分の荷物持ってこい」
「えっ」
「今日は、おしまいだ。ついでに俺の鞄も持って来てくれ。さっき座っていたデスクの下に置いてあるから直ぐに分かる」
「デスクの下ですね。分かりました」
用具の片付けを任せて開発事業部に戻った。
自分のバッグを肩にかけて、藤崎斗真の鞄を見つけ手に持ったら思ったより、ずっしりと重みが手にかかった。
「重い……いったい何が入ってるんだろう」