君を想う


まずいっ……思わず見とれてた。


「は、はい直ぐに淹れます」


もう一組カップとソーサーを棚から出した。


やかんのお湯が沸騰しそうになりカップにコーヒーの粉を入れようとした時。


「早い」


とっくにテーブルについたと思っていたのに。
あわてて手を止めた。


「えっ!?あの……どうしたんですか?」


「カップは事前に温めておく。それとお湯は直ぐにいれない方がいい。
沸騰したてより少し待って波立ちがおさまって温度がちょっと下がったお湯の方が美味しくなるんだ」

「そうなんですか…………」

動きを止めてしまった私の代わりに説明しながら三人分のコーヒーを淹れてしまった。


凄く手際良く淹れていた。この人はコーヒーの入れ方に詳しいんだ。


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