君を想う
外に出ると雨は止んでいた。
barを出ると中里さんは待ち合わせをしているからと行ってしまいタクシーに乗れる所まで二人で歩きだした。
冷たいものが頬に当たり雨かなと立ち止まると、また当たって……やっぱり雨だ。
「何だ、また降って来たのか」
藤崎斗真はため息をつき傘を広げた。
あっ、傘忘れた……どうしよう。
さっきまでいたbarに傘を忘れてしまった事に気付いた。
「お前、傘は?」
「……忘れて来ちゃいました」
「何、やってんだよ」
たしか明日も雨が降るって予想だった。まだ引き返せる距離だし小降りの内に取りに戻ろう。
「取りに行って来ます。藤崎さんは先に行って下さい」
さっきまでいたbarに戻ろうと駆け出した。
「藍川、待て」
立ち止まると傘を渡された。
「お前はここで待ってろ」