君を想う

感心して見ていた私の前にいつの間にかトレーがありコーヒーカップが載っていた。


「棒みたいに突っ立ってるなよ」

あっ……感心してる場合じゃない運ばないと。


「す、すみません……」


トレーを持とうとして手が止まる。


「ニコニコして座ってるだけでも勤まるなんて受付もレベルが下がったもんだ。そう思わない？残念な受付嬢さん」


何この人……？毒舌？
レベルが下がったって随分とヒドイ言われよう。
コーヒーの入れかたが気に入らなかったみたいだけどいきなり失礼だよ。


「もういいよ。あんた役に立たないな。」


「あっ待って下さいっ、私が持って行きます」


私の事なんて無視するようにいってしまった。
ちょっと何、あの人……。


あれ、一つ持っていき忘れた？
一つだけ残ったカップからはまだ湯気が立っていて、いい香りが漂っていた。


「なんだ物欲しそうな顔して」

戻ってきた。

「そんなに飲みたいならやるけど？」


「結構です」


「どうぞ」

バカにしたような顔をして行ってしまった。