君を想う


「瞳子さん、おはようございます」


「おはよう。……里奈ぁ~、聞いてよ。私ね、さっき見たくないものを見ちゃったのよ」


瞳子さんも見ちゃったんだ。


「藤崎さんの事ですか?女の人と一緒にいましたね」


「予感はしていたんだけど……あんな形で見せつけられるとね……」


「予感……ですか?」


「うん、ほらこの間、barに行ったときに気持ち伝えようって思って藤崎さんに話しがしたいって言ったあと抜けたでしょ?」



「そうでしたね」

でも藤崎斗真はあのとき瞳子さんを送っただけで帰って来たってそう言ってた。
でも話しだけは瞳子さんから聞いたかもしれない。
そう思ってたけど。


「抜ける理由を具合が悪いって事にして中里さんに言ったのを藤崎さんが誤解をしてホントに具合が悪いと思ったみたいで……話しを聞いてほしいって言ったけど早く帰れってタクシーに押し込まれて結局言えなかった」


ホントに話しも聞かずにbarに戻って来たんだ。
瞳子さんが話したいって言ったんだから聞くぐらいすればいいのに。


「前もって中里さんに話して協力してもらえば良かったって後悔したけど……でも、どうせフラれるなら言えなくて良かったかも……」



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