君を想う
お昼休み。
このところ、お昼に外へ出ていくのがおっくうでお弁当持参の毎日が続いている。
今日もお弁当を持って食堂に。
エレベーターで3階フロアに上がり食堂に行く途中で開発事業部で顔合わせをした一人、良く私を見掛けると言っていた人と会った。
続けて食堂に行くせいか良く会う。
でも、不思議な事に藤崎斗真とは会わない。
このところ、藤崎斗真に来客があっても電話の応対だけで喫茶室を使う事もないからあの電車で帰った日以来会ってない。
今朝も、私が一方的に見かけただけで向こうは彼女と一緒にいて私には気づいてなかったし……。
別に会いたいわけじゃない。
会わないって事は絡まれないし余計な手伝いもしなくていい……心穏やかに過ごせるって事だよね。
これって……いい事だよね……振り回されずにすむんだから……。
会釈をし通りすぎようとしたら。
「あっ、受付ちゃん!今日も食堂でお昼?最近ずっとだね」と話しかけられた。
この人は会うといつも、私を《受付ちゃん》と呼ぶ。
受付にちゃんづけなんて変だと思って最初は藍川ですと訂正していたけど結局会えばそう呼ばれてしまうから、もう受付ちゃんでいいかとそのままにしておく事にした。
「はい、これからお昼です」
「藤崎は今、ちょうどいないんだよ。トラブル発生で部長と相手の会社に行ったきり、まだ戻って来てないんだよ」