君を想う


「それだけ?」


「それだけじゃいけませんか?」


「う~ん、もっと何か感じなかった?」


あの二人を見て感じたこと……。


あっ……他にもあった。


「ありました。女の人なんですけど前にどこかで見たような気がしたんですよね。会ったことはないと思うんですけど……」


「……一緒にいた女性の事か……。里奈ちゃんがそう思うならどこかで何度かすれ違ったりしているのかも知れないね」



中里さんには言えてない事がある。
朝、二人を見てから……ずっと変で。
もやもやとしていた。
何で《もやもや》しているのか分からない。



「中里、とっくに休憩時間は過ぎてるぞ」

聞き覚えのある声にギクッとした。


「あっ藤崎、戻って来たんだ。どうなった?」


「うん、何とかなった 」


「そうか、良かった。藤崎はこれからお昼だろ?俺そろそろ戻るから」


えっ……中里さん行っちゃうの?
今、藤崎斗真と二人にされるのは困る。

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