君を想う


仕事が終わり開発事業部に行くと藤崎斗真は中に入れと手招きをした。


「そこに座って」


藤崎斗真は私が座るのを待ってから口を開いた。


「藍川、俺は……お前のことが好きだ」


「えっ……」


「いきなりで、ビックリしたよな?」


「……罰ゲームか何かじゃないですよね?」


「違う。本当に好きなんだ。何でだろうな。ずっと気になってたんだ。俺の彼女になってくれないかな?」


「いきなり好きだと言われても……私のどこがいいんですか?つりあってないのに……彼女になってほしいなんて、そんなことを言われても……ムリです」


「また、つりわないとか言うんだな。お前はもっと自信を持ってもいいのに……でも、ムリと言われたら仕方ないか……分かった。
今、言った事は忘れてくれ。それと急に部長から言われて今度またシンガポールに行くことになったんだ。
ちょうど良かったな。気まずくならなくてすむ」


「えっ……」


「もう帰っていいぞ」


藤崎斗真がシンガポールに行ってしまう……。
もう何が何だか分からなくなって私は開発事業部を飛び出した。



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