君を想う
藤崎斗真に好きだと言われるなんて思いもしなかった
……。
家に帰ってからも、藤崎斗真から言われた事が頭の中で何回もリピートされて消えない。
藤崎斗真は私を好きだと言った。
それから、またシンガポールに行くと言った……。
それってもう会えなくなるって事だ。
藤崎斗真に会えなくなる―――――。
何故だろう。
会えなくなるって思ったら胸が痛くて苦しくて……嫌だって思った。
田辺さんのときは、そんなことは思わなかった。
胸もこんな風に痛くならなくて……。
私は藤崎斗真が……好きなんだ。
このままシンガポールに行ってしまったらこの胸の痛みはずっと続くの?
涙がポロリとこぼれた。
充電を始めたばかりのスマホを手に取った。
心臓がウルサイくらい早打ちしている。
迷わずタップして藤崎斗真の携帯にかけた。
『……何か用か?』
『今すぐに会って話したい事があるんです』
『何の話しか知らないけど、もう遅いし、どうしても話したいなら今、電話で話せ』
『……私の本当の気持ち藤崎さんに話してない。だからまだシンガポールに行かないで下さい。話すまで待って下さい』
『藍川?』