君を想う
『好きなんです。私も藤崎さんのことが好きなんです。シンガポールに行くって聞いてもう藤崎さんに会えない、そう思ったら胸が痛くてなって苦しいんです……』
心のままに伝えた言葉は次の一言で拒否された。
『藍川……今のは聞かなかった事にする』
もう……遅いって事……。
『そう言うことは電話じゃなく直接、聞きたい』
次の日に改めて藤崎斗真に会い私は本人に気持ちを伝える事ができた。
私が好きだと伝えると「そう言うことは、もっと早く言え」と睨まれた。
「素直に言わなかった罰だ」
「えっ……」
目の前に藤崎斗真の指が見えてデコピンされるのかととっさに目を瞑ったら額に触れたのは指ではなく唇だった――。
「一年だ。シンガポールから戻るまで待ってろよ。遠距離なるけど大丈夫か?」
「大丈夫です。待ってますよ」
藤崎斗真に抱きしめられた。
「絶対に待ってろよ」
「待ってます」
数日後、藤崎斗真はシンガポールに発った。