君を想う


「開発事業部の藤崎さんをお願いしたいのですが?」


『フジサキ』……名前を聞いてギクリっとしてしまった。
つい先日の出来事は、まだ記憶に新しい。


「藤崎さんですね?お約束はしていますか?」



「午後2時から会うようになっているんですが……」


「分かりました。少々お待ちください」


開発事業部に内線を入れようとしたら瞳子さんがかけると言いだし内線で話し始めた。


「受付ですが午後2時から約束をしたという方が受付に来ているのすが?はい分かりました」


「担当の者に連絡が取れました。直ぐに降りて来るそうなので、あちらで座ってお待ちください」


「そうですか。ありがとう」


瞳子さんに言われて来客は移動した。
来客を待たせるときは、いつもフロアの一角にある待ち合いのためのスペースで待って貰うようになっている。


隣を見れば、またもや頬をそめた乙女の瞳子さんがいた。
「瞳子さん?」


「藤崎さんがここに来る……」






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