君を想う


中に入ると「藍川さん悪いね」と爽やかな笑顔の藤崎斗真がこちらを見た。


ホントに藤崎斗真?今日は別人を見ているみたい。
今までの態度がヒドイだけにあの笑顔は胡散臭く気が許せない。
淹れたコーヒーが不味かったら……あっという間にバカにしたような態度に変わってしまいそう。


カウンターの奥に行き、何気に顔を上げたら藤崎斗真とまた視線が合ってしまった。
バカにする機会を待っているんじゃないかと思えてしまうのは被害妄想か。


うっ……緊張して来てしまった。


とにかく落ち着こう。先ずはお湯を沸かして……。


トレーの上には中身の入ったコーヒーカップが二つ、あとは運ぶだけ。
大丈夫かな……。

「90点てとこか」


「うわぁっ!!」


カウンターの向こう側から声がかかり驚いた。


「いつから、いたんですか?」


「お湯を沸かしているあたりから。カップ温め忘れただろう?」

「あっ!……」


指摘されて何が間違っていたのかが分かった。


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