君を想う
テーブルを拭き残っていたコーヒーカップを片付け、カウンター奥にある洗い場で洗った後、水が切れるまでちょっと待った。
喫茶室には内線がかけられるように電話があるんだから、わざわざ受付に来なくってもいいじゃない。
『残念な受付嬢だな』って言ったくせに……ウソつき!!
水が切れたカップを拭きながら段々とイライラが募って来てしまった。
だいたい瞳子さんの前だと爽やかなイケメンのくせに私だと全然態度が違うだから。
『二重人格のウソつきの毒舌男』
カチャっとドアの開く音がして、人が入って来た。
入って来たのは営業部のエースと田辺さん。
「藍川さんがいるって聞いて来たんだけど、いいかな?」
「はい」
「田辺さんは、紅茶で良かったっけ?」
「そうですね。紅茶をお願いします」
「俺も紅茶にするか。じゃあ紅茶を二つ」
「分かりました」