君を想う
そして金曜日の朝。
「あっ、藤崎さんおはようございます」
いつもよりテンション高めな瞳子さん。
「おはよう宮内さん、今日はよろしく」
「こちらこそ、楽しみにしてます」
「この間はごめん。急に用事が出来て行けなくなって」
「いいえ、急用なら仕方ないです」
「じゃ、また後で」
「はい」
「藍川さんも、今日は行けるんだろ?中里が藍川さんに会えるのを楽しみにしているから」
「はぁ……」
同じ会社の社員だけど、その人とは面識がないし楽しみにしていると言われても、なんて答えていいか分からず曖昧な返事をしてしまった。
「藍川さんちょっと良いかな?耳寄りな話しがあるんだけど」
「えっ?」
藤崎斗真の顔が耳元に近づき何だろうと耳をすました瞬間。
「俺の誘いを断るなんていい度胸だな」
地を這うような低い声が耳に響いた。