君を想う
ギクっ!!
ついさっきまで、ここにいた爽やかなイケメンはいったいどこに行ってしまったのか……。
声と同様に顔も悪魔に変化した。
ちょうど、こちらを向いていて瞳子さんは藤崎斗真の背中しか見えてないため当然、悪魔のような顔も見えていない。
「絶対に逃げるなよ」
悪魔が例の低い声で耳元に囁いた。
ビクッと肩を振るわせ体は固まってしまったように動けなくなった。
その間に口の悪い悪魔は行ってしまい、やっと威圧から解放されたように動けるようになった。
「里奈、耳寄りな話しって何だったの?」
「たいした話しじゃなかったです」
「えー、ホントに?」
「はい」
「ふう~ん」
瞳子さんは、納得した訳ではなさそうだったけど受付に来客が来て仕事モードに切り替え、それ以上聞かれることはなかった。