君を想う

さっきから緊張のせいか、あまり話せなくて……きっとつまらないよね……。
相手が瞳子さんだったら、きっと会話も弾んだんだろうな。


「あの、すみません」

「ん?何が?」


「隣が私ですみません。こういうの慣れてなくて」



「こういうのも新鮮でたまにはいいよ。里奈ちゃんて可愛いね」


また可愛いって言った。
きっと挨拶代わりの言葉なのかも……たしか(女の子は全員恋人)だったっけ。



「おいっ」



「何だよ藤崎」


「交代だ」


前で瞳子さんと歩いていた藤崎斗真は急に私の隣に来て代わりに中里さんが瞳子さんの隣に移動した。


「なんだ、俺が来たらそんな顔か?もう少しどうにかしろよ」



そんな顔?
受付嬢をなめてもらっては困る。
例え相手が口の悪い悪魔だろうと極力顔には出さないようにしているんだから。


「これがいつもの顔ですけど」


「ふ~ん、自覚がないなら仕方ないか」


暫く無言で歩いていたけど急に立ち止まり、何だろうと思いながら一緒に立ち止まると。

「ん~……お前、急に背が高くならないか?喫茶室ではもっと……低かったような……」


ぶつぶつ言いながら首を傾げた。

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