君を想う

先に歩き出していた足を止め振り返った。



「二人が心配するといけないから早く歩いて下さい」


また歩き出して後ろで何か言っているなと思ったけど
構わず早歩きで先に進んだ。


前を歩く二人に追い付きホッとしたのも一瞬で直ぐ後に藤崎斗真も追い付き隣に来た。


「待てと言ったのに、一人で勝手に行くとはいい度胸だ」


見下ろされ軽く睨まれた。これでは蛇に睨まれた蛙状態。


ちょっと怖いけど瞳子さんに後で恨まれるよりはいい。


「ちゃんと、行こうって言いましたよ」


「あ゛?」


うっ……。


いい放たれた『あ″?』はかなり迫力があって、これ以上言い返せずに無言の圧を掛けられたまま、ひたすら歩き目的のお店に着いた。


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