君を想う
ど、どうしよう……。
こういう所は初めてで何を頼めばいいか分からない、なんて言ったら皆、変に思うかもしれない。
やっぱり来なければ良かったかな……。
「わ……たしは……ど、どれにしようかな……」
テーブルの上にあったカクテルのメニューを見たけどどれが弱そうなのか分からない……困った。
「藍川さんはお酒は強い?」
藤崎斗真が突然そう訊いてきた。
「……弱い方です」
「そうかだったら、これとこれもオススメかな。飲みやすいはずだから」
「あの、じゃあ、これにします」
「藍川さんはミモザだね」
「あっ、はい」
「あまり飲めないなら、ムリしなくてもいいからな。ノンアルコールの飲み物もあるからさ」
一応助けてくれたのかな……今は悪魔が天使に見える。
「どうした?」
「なっ、何でもないです」