君を想う
「あの藤崎さん?」
「何?」
「ここには良く来るんですか?」
「まぁ時々は……」
「そうなんですか。
ここって雰囲気がいいですよね?今度友達と来ようかな……」
瞳子さんに話しかけられて二人で会話を始めてしまった。
「里奈ちゃん、つまらない?」
「えっ?」
「さっき歩いていた時、後ろから藤崎と里奈ちゃんの楽しそうな声が聞こえてきた。
でも今は瞳子ちゃんが藤崎を陣取ってベッタリだから、里奈ちゃんはつまらないのかなと思ったんだけど」
歩いてる時は……別に楽しく会話なんてしてない。
「中里さんの勘違いです!!」
「そう?勘違いなんだ」
「勘違いですよ。ただ……つまらないとか、そんなんじゃなくて、こういう所は初めてだから雰囲気に慣れないだけなんです」
「ごめん。里奈ちゃんはbarは初めてなんだ。
初めてって知っていたら、もっと配慮したんだけど」