君を想う
「それは、私が初めてだって言わなかったから……里中さんに謝ってもらうことなんてないです。
あの……騒々しくはないし落ち着いた雰囲気で飲めるし、このカクテルも美味しいです。だから、つまらないなんて思ってません」
「そっか、ムリしてるんじゃないんだね。それならいいんだ」
「中里さんて優しいんですね。私なんかの心配してくれるなんて」
「それがオレのモットー。女の子には優しくするよ。だから里奈ちゃんにも、もちろん瞳子ちゃんにもね」
やっぱり……この人軽い。
「ところで、藤崎と里奈ちゃんはどういう経緯で知り合ったの?」
「経緯ですか?そうですね……きっかけはコーヒーです」
「コーヒー?」
「私達、受付嬢は喫茶室で来客用のお茶やコーヒーを淹れているんですけど」
「そうみたいだね。オレは窓口の担当じゃないから使った事はないけど」