君を想う
「おいっ、勝手に行くな」
「瞳子さん達と帰ったんじゃなかったんですか?」
「宮内さんは中里がタクシーで送って行った。
電車は何分待ちだ?」
「後、10分くらいで来ます」
ちょっと待ってろと言われて2.3分待ち一緒に改札口を通り中に入った。
その間に少し離れた場所にいた女の人、二人が「あの人かっこいいね」と話しているのが聞こえて来た。他には、それらしき人物は見当たらず二人が話しているのが藤崎斗真の事だと分かった。
イケメンはどこにいても直ぐ分かるものなのかと感心してしまった。
隣に藤崎斗真が戻って来たとき「えー、違うでしょ」と聞こえてきて。
彼女達が何を言っているか何となく分かってしまった。
ちょっとイヤな気分……。
私に付き合って貰う必要なんてなかった毎日乗ってるから電車には慣れてるし瞳子さんと帰ってもらって良かったのに……
「一緒だと迷惑って事か?」
藤崎斗真はそう言ってじろりとこちらを睨んだ。
心の中で言ったつもりが声に出ていたらしい。
「別に……迷惑だなんて言ってません」
「あ、そ」
何か話しをと思ったけど、どんな話しをすればいいのか分からないし、なんだか不機嫌そうにムスッとした顔をしているから声もかけにくい……お互に無言のまま電車を待つ事になった。