君を想う
「日曜日行くはどこの映画館?」
「あのっ、さっきから何ですか?」
「別に、ちょっと訊いただけだろ」
「もしかして、藤崎さんも見たい映画だったりして?」
「全然、見たいとは思わないし興味ないね」
興味ないならいろいろと訊かなければいいのに。
「はぁ、そうですか……じゃあ電車の時間もあるから帰りますね」
「ちょうどオレも帰るところだから一緒に帰ろう」
この間のようにまた釣り合わないとか言われて不快な思いをする。
「嫌です」
「は?……何で、同じ方向なんだしいいだろ?」
「イケメンとは歩きたくないんです」
「はあ?」
藤崎斗真は、わけの分からない顔をしている。
「女の人に騒がれているのに自覚ないんですか?
とにかくイケメンの隣が私だと釣り合わないから一緒に歩かない方がいいんです」
「あんたの言ってる釣り合わないっての、良く分からないんだけど」
「私が言いたいのは、ふさわしい相手と歩いてってことです。周りが納得するような女の人と」
「もしかして周りを気にしてる?俺があんたと一緒にいるからって他の人間がどうこう言うのはおかしいだろう。
気にする必要なし、ほらっ行くぞ」