君を想う

「そうか……それは……残念だなぁ～」


長谷川さんは、ひきつった笑顔をしながら肩をすぼめて去って行った。
見た感じそうとう落ち込んでいる様子に多少の同情を感じてしまった。


「瞳子さん……私と約束なんてしてましたか？
それに、この間も断ってましたよね？」


「だってあの人、付き合う気はないって断ったのに、しつこいんだもの」


「長谷川さんは女子社員の間で人気あるって聞きましたよ？」


「まぁ、いろいろ美味しいお店を知っているみたいだけどそれだけよ、中身は薄っぺらくて自分本意。それに……この間、見ちゃったのよね」

瞳子さんがいったい何を見たのか気になって訊いた。


「何を見たんですか？」


「告白してきた女子社員にヒドイ言い方でフッてたの。あの男はホントにサイテーだわ皆が知ったら引くわね」


詳しく瞳子さんから話しを聞いたら本当にヒドイ話で相手の女子社員が気の毒に思えた。


「顔が良くたって性格がダメならどうしようもないよね。この会社で一緒に居たい、いい男っていないな～。
あっ！でも前に開発事業部に居たときに一人いたけど……海外に行っちゃったし」



「え？海外ですか……？」



「そう、急にね。イケメンでね仕事も出来たから部長も一目おいていたみたい。
恋人もいないって話しだった……ちょっと憧れていたんだけどね」