君を想う
気にするなって言われてもムリだよ。聞こえて来たら気にしてしまう。
「ムリです」
「早く歩いてくれないかな?時間に間に合わなくなる……。とろいっ」
何よ。とろいって……。
「帰ろうとしたのに、足止めしたのは藤崎さんでしょ」
「あ″?俺が悪いとでも?」
「……いいえ」
「見たいテレビがあるんだよ。急げっ」
見たいテレビのために急ぐって事……。
「録画予約してないんですか?」
「忘れた」
ここから、あと七分てかなりキツイんだけど……。
早く歩いてるはずなのに藤崎斗真は歩くのが早くその後を必死で付いていった。
気を抜けば間が開いてしまう。
「もう少し早く歩け」
「これ以上早くなんてムリです。私、次のに乗ります。先に行ってください」