君を想う
藤崎斗真の手?
それは直ぐに離れた。
「すみません」
「いや……」
途中、女性一人が乗ってきて藤崎斗真に気付くとずっとこちらを見ていた。
可愛いらしい感じの女性。
藤崎斗真はそんな事には気付かないみたい。
でも、ホントに気付いてないのかな……。
私だって感じるのに本人が気付かないなんて。
いつでも見られているから慣れて、平気なのかもしれない。
「さっきから視線を感じるんだけど」
なんだ気付いてたんだ。
「可愛いらしい感じの女性ですね?もしかして藤崎さんのタイプですか?」
「は?タイプって何の事?藍川が、さっきからじっと見てるから気になるって言ってるんだけど?」
私?
「冗談はやめて下さい。藤崎さんのことなんて見てませんよ」
「見てたよ。じっと俺の事を見てただろ?」
「勘違いです。藤崎さんをじっと見ているのは、あちらにいる、あの女の人です」