君を想う


「女?」


チラッとそちらを見たが、どうでもいいように視線を戻した。
普通は、あんな感じの可愛い女性がいて自分を見ていたら男性なら気になるものではないだろうか。


「気にならないんですか?ずっとあんな感じで藤崎さんを見てましたよ」


「別に……どうでもいい」



「冷たい言い方ですね。藤崎さんはいつも女の人に見られているからきっと感覚が麻痺しちゃってるんですね」


「なんだ、その言い方。麻痺なんてしてねぇし鈍感じゃないんだから視線ぐらい感じる。だけどそういうのめんどくさいんだよ」


「女の人に見られるのは、めんどくさい、ですか?」


「俺は中里みたいに、あっちもこっちもなんて、いちいち相手なんてできないし……そういうのは苦手なんだ」


この人から、苦手なんて言葉が出ててくるとは思わなかった。
苦手なものなんて無さそうなのに……。


「そうなんですか……。でもっ、会社の女子社員には爽やかな笑顔で通ってますよね……今みたいにめんどくさそうな顔なんて見たことないですけど?」


「会社は人間関係が大事だろ。ある程度の付き合いは仕方ない」


たしかに会社では人関係って大事だと思うけど……藤崎斗真に毒舌を吐かれる私はある程度の付き合いも必要としない女子社員と言うこと?










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