君を想う
「あの……私も女子社員のうちの一人なんですけど他の女子社員とは態度が違うのはどうしてですか?」
「それは……不思議なんだけど藍川だと他の女とは違って自然と本音が出るんだよな。……何でだと思う?」
そんなの訊かれたって……分からないよ。
日曜日、今日は田辺さんと映画を見る約束をしていた。
待ち合わせの場所に10分位前に着くように行ったのに、すでに田辺さんは来ていた。
「早いですね」
「楽しみだったので早く来てしまいました」
「いつ頃、着いたんですか?」
「一時間前に来ました」
一時間も前に来たなんて田辺さん凄い気合い入ってる。
よっぽどみたい映画なんだ。やっぱり付き合う事にして良かったかな。
「楽しみしていたんですね。でも一時間て待ってるには長いですよ。退屈したんじゃないすか?」
「いいえ、待ち遠しくて、しかたがなかったです」
田辺さんは照れくさいのか、しきりに頭をかいていた。
中に入り、空いている場所に適当に座ると田辺さんは思い出したように「あっ」と声をあげた。
「何か飲み物を買ってきます」
「じゃあ、お願いします」
そう言ってお財布を出した。
「いいですよ。僕出しますから」
「でも……」
「大丈夫です」
「すみません」
田辺さんは飲み物を買いに出ていった。